今回は,長男のセカンダリーの制服の話から。
約1か月前のこと。長男の制服が夏用冬用合わせて必要最低限揃った。最低限,というのは,オプショナルでセーターや長袖のラガーシャツ,マフラーなどいろいろあるから。これがいちいち素敵で思わず買い揃えたくなってしまうのだが,我が家の暑がり男子は結局着ないで終わりそうなので,まずは最低限で様子を見る作戦。
以前にも書いたとおり↓ メルボルンでは,1学期(Term1)は夏休みが終わる1月末ころから始まる。
そしてTerm1とTerm4は夏服を,Term2とTerm3は冬服を着ることになる。日本だと入学の段階で冬服一式揃えなければならないが,こちらは夏が入学シーズンなので,半袖シャツと半ズボンとネクタイ,体育着,靴と鞄を買えばとりあえずは準備完了,スタートとしては比較的身軽で楽だ。
ただ,1日に四季があると言われるメルボルン。最高気温30度越えの日であっても,最低気温が10度台ということはザラにあって,先月末,Term1の終わり頃は朝晩の冷え込みが厳しかった。ちょうどそのころ体調を崩し気味だった長男。半袖短パンでうっかり風邪をこじらせたら大変だと思い,Term2を待たず急いで冬服のブレザーを調達することにした。
長男はあっという間に私とパートナーの身長を追い越し成長著しい上,おそらく常に体内でエネルギーが燃えているのだろう,とにかく暑がりだ。買ってもすぐにサイズアウトする可能性があるし,ブレザーなどは冬であっても日中脱ぎ捨てそうなので,中古でもいいかも?と思い,セカンドハンドの制服をゲットできないか調べてみた。
卒業生などから寄付されたお古の制服を学校内で販売する学校もあるようだが,長男のセカンダリーは,教科書なども含めた学校用品の個人間売買のネットサービス↓と契約をしている様子。学校卒業時に不要になったものをこれまで大量に破棄してきた身としては,これはすばらしいシステム!と感心。
www.sustainableschoolshop.com.au
早速,長男を連れて制服屋さんに駆け込んでブレザーを試着,サイズをしっかりメモして帰宅。すぐにこのサイトにアクセスして,欲しいサイズの出品状況をチェック。よしよし,たくさん出品されてるぞ!と詳細を眺めはじめて,急ブレーキがかかった。
・・・高い!!
自称「状態が良い」出品物は軒並み$120以上の値が並ぶ(最近の為替レートでA$ 1≒90円前後)。さらに「状態が悪い」と申告している物でも最低$50。ちなみに制服屋さんで買える新品ブレザーは$190弱。なお,サイト上には商品名と状態と価格といった最低限の情報のみで,写真はない。
「ボタンがいくつか取れているの。でも直せばまだきっと十分使えるレベル。替えのボタンはないけどね!」とか言ってさらりと$50。50ドル!ボタンがいくつか取れるような使い方してて50ドル!
強気すぎる・・・。そうだ,そういえば車もそうだった。↓
これは本当に人によると思うのだが,節約家(=ケチ)な私としては,どんなに状態が良かったとしても,古着となると半額でも高いな~と感じるところ。また,個人間売買なのでアポ取りから何から全て自分でやらねばならないわけで,$100で中古を買うなら,$190で新品を買った方がいいなという感覚だ。
そんな目線でチェックを続けていたところ,「状態:並」で$50というお値打ち品を発見!モノは試し,やってみなければわからないし,とりあえずトライしてみることにした。
まずは記載されている電話番号にSMSでメッセージを送る。「あなたが出品している○○セカンダリーのブレザーに興味があるので見せてください」
→程なく返信。「いいわよ,今日の午後3時以降なら家にいるから。住所は○○」
→再度送信。「小学校へ子供をピックアップしに行かなきゃなので,その帰りの4時くらいに行きます」
当初こそサステナブルで素晴らしいシステム!と感心していたものの,ここまでの段階で既に私の意識に変化が。
サイトに登録した人でないと見ることはできないとはいえ,自分の電話番号をネット上にさらすのはかなり抵抗があるし,加えて,見ず知らずの人に自宅住所を教えるのも怖い。そんな私には,このシステム使いこなせないだろうな・・・と。
ちなみに,こちらではFacebookのマーケットプレイスという個人間でのフリマ機能が人気らしく(Facebookを使っていないのでよくわからないが,日本では使えないのだろうか?),これもこの制服のやり取りとほぼ同じで,近場の人同士の対面での売買のようだ。Facebookだと基本匿名じゃないから,相手をある程度信用できるのだろうか??いずれにせよ,オンラインからオフラインへのハードルの低さに驚きを禁じ得ない。もっとも,私の感覚が超古いだけなのかもしれない。
話を中古ブレザーに戻して。
午後4時少し前,学校帰りの二男と共に出品者の家へ。ドキドキしながらベルを鳴らすと,程なく中年のオージー女性が出てきた。スポーティな雰囲気だが少しお疲れの様子,おそらく私と同年代。「どうぞ入って。そこに出しておいたから,自由に見て。」と,玄関入ってすぐのソファの上に無造作に置かれた毛玉だらけの服を指さした。遠目でもう,手に取るまでもなく購入意欲ゼロなのだが,念のため近づいて確認。近くをウロウロしているかわいいラブラドールレトリバーのものと思われる毛がいくつも付着した,毛玉いっぱいのブレザー。クリーニングなし,おそらく自宅での洗濯もなし,着古し感全開で$50・・・。
もしかすると,この後も果敢に状態良の$120に挑戦すればいい出会いがあったのかもしれない。だが,①出品者と連絡を取って,②日程調整をして,③知らない人の家に行って④自分で物の状態を確認する,これらの作業に差額$70以上の価値があると確信して,おとなしく新品を購入した。
Facebookのマーケットプレイスや,譲ります買います関係のネット掲示板などを眺めても,中古品はかなり割高と感じる。というか,日本では流通しない(買い手がつかない)と思われるような品でも,ちょっと驚くような値で並べられている。中古車市場で感じたのと全く同じ感覚だ。
買い手からすると手間もかかる上にリスクも高くて,どうにも敬遠したくなる。が,需要があるからこその強気の価格設定なのだと考えると,売り手の立場になればすごく良い環境なのかもしれない。そして,遠慮せずに強気の価格設定ができる度胸をつけることもまた,海外で生きていくスキルのひとつなのだろう。