メルボルンでの家探し

渡豪後の生活準備について記録を残そうと思う。

シリーズ第一弾は,賃貸物件を借りるまで。

 

私は,2022年春,同年8月下旬のメルボルン行き飛行機をJALのマイルで予約していた。

(早速脱線して飛行機の予約の話をすると,オーストラリアはコロナ禍でながらく国境を閉じていたが,2021年末頃から徐々に入国を許可し始め,私が飛行機を押さえた春頃は確か留学生に対してほぼ制限なく国境を開いた後だったと記憶している。それでもなお,メルボルン直行便はJALの運航のみだった上,翌月の運行計画すら確定していないような状況だったので,数か月後である8月の予約はガラ空き,かつかなりお得なマイル数で家族4人分の予約が取れた。夏前には日本人の海外渡航熱がだいぶ回復していたので,8月の運行計画が確定した頃には必要マイル数が予約した時の倍以上になっており,つくづく混乱期だったのだと実感した。)

だが諸事情あって(特にビザ申請の遅れ。後述するように,これについては後日記事にするつもり。)宿泊先を押さえたのは渡豪まで1か月を切った8月上旬になってからだった。Airbnbで検索し,家族4人で何とか寝られそうな2ベッドルームの小さなアパートメントを3週間分予約した。この3週間で,何としても住む家を見つけなければならない。

本当は,住む予定の地区近くに滞在したかったのだが,郊外の住宅街なので宿泊先はほとんど見当たらず,あったとしても目が飛び出そうな高価格の豪華な一軒家ばかり。なので、家探し期間中の3週間は,Cityにほど近いアパートメントから,トラムと電車とバスを駆使して現場へ足繁く通う毎日を過ごすことになった。

 

さて,ようやく本題に入る。メルボルンで家を借りるには,以下の手続を踏むのが一般的なようだ。

①inspectionという内覧会に申し込む

②内覧する

③賃借の申込をする

④大家が申込を受諾したら、賃貸借契約締結

①内覧会の申し込み

不動産の検索サイトで,場所や条件で物件を絞り込んでいく。メルボルンに住んでいる方々からおすすめされたされたのはこのサイト。

https://www.realestate.com.au/

私の場合,絶対条件は子供が通う予定の公立校の学区内+子供が通いやすいこと。子供の学校は日本にいる時に決まっていたので(親のビザ申請の際,子供の学校からの入学許可書類の添付が必要という鬼スケジュール。子供の学校が決まるまでの顛末は本当に苦労の連続だったので,別途記事にする予定。)渡豪前からこのサイトで学区内の物件をチラチラとチェックしていた。

内覧会は,不動産業者に個別に連絡を取って日程を調整する場合もあるにはあるが(日本では通常このタイプだと思う),一般的には,上記サイトの物件詳細ページにinspection日時が書いてあるので,都合が合えばオンラインで予約を入れ,当日,直接その物件の玄関先まで行って不動産業者を待つことになる。

②内覧

物件の前の道端で待っていると,開始時間ギリギリに不動産業者が車でやってくる。大抵は複数の内覧希望者がいて,彼らはもちろんライバルだ。現れた不動産業者に対し予約した名前を伝えて,家の中を自由に見て回り,質問があれば業者に聞いたりするのだが,内覧可能時間は長くても15分程度。空き家のこともあれば,まだ退去前の居住者が住んでいることもあって,そういう場合は家具などもまだ置いてあるから生活時の状況が具体的に想像できるし,住人が住んでいて困ったことや良かったことなどを話してくれたり,色々参考になる。

 

私は,3週間弱で合計13軒見て回った。

inspection の日時は上記のとおり,基本的にこちらで指定することができないので,日によっては分刻みのスケジュールであっちに行ったりこっちに行ったり…

加えて,前述のとおりだいぶ離れた場所に滞在していたし,車がないので(レンタカーも非常に高く,メルボルン到着当日に空港から大量のスーツケースを運ぶために借りたものの1日だけで返した)公共交通機関を乗り継ぎ,足が棒になるまで歩き回った。というのも,google mapで見ると近そうに思える距離でも,こちらは1ブロックがとにかく遠いのだ。へとへとになって滞在先へ帰り着き,スマホ歩数計を確認すると1万5000歩は優に超える毎日。

今思えば本当によくやったと思うし,付き合ってくれた子供たちもすごい。ただ,あの時はとにかく落ち着く先を早く見つけなければと必死だった。

家探しで歩きまわった住宅街の町並み。歩道は芝生がセットになっている

以下、実際に内覧した備忘録。

8/25(木)①17:00(一軒家。初めてのinspectionで緊張,居住者がいて驚き。内覧は私たちだけだったので居住者がいろいろ説明してくれた) 

8/26 (金)②11:00(一軒家。場所的にも費用的にも第1希望だったが,webに掲載されていた写真の印象と全然違って完全に廃墟状態の家。ここだけinspectionを個別に申請するタイプだったのだが,要は指定型inspectionを実施しても借り手がなかった不人気物件なのだと理解。実際に見ることは大事だと実感した)

8/27 (土)③9:50(古いアパートメント。初めて何組か他の内覧希望者がいたので行動をチェックしていたのだが,ささっと見てあっという間に皆去っていった。そういうもの?)

④11:30(新しいアパートメント。きれいだが狭い,しかし新しい物件には内覧希望者が殺到するのだと認識)

8/29(月)⑤17:15(古いユニット。気に入って申し込もうとしたが,あっという間に借り手がついたようですぐに締め切られてしまった)

8/31(水)⑥16:00(古いユニット。場所も佇まいも気に入って申し込んだ)

⑦17:00(古いユニット。馴染み?の競合者=ライバルがいることに薄々気づく)

⑧17:30(新しいアパートメント。予算オーバーだったが唯一の家具つき物件で,結果今借りている家)

⑨17:45(新築のアパートメント。違うタイプの3つの物件を見せてもらった。不動産業者がいかにも業界風で笑ってしまった。新築だと営業のスタイルも違う)

9/3(土)⑩9:30(一軒家。残念ながら記憶も記録もない)

⑪10:15(一軒家。家族全員一致で気に入り,即申し込み)

⑫13:05(少し遠めの一軒家。庭がすごく広くて芝刈り大変そう)

9/5(月)⑬16:30(古いアパートメント。安かったからか過去一番の内覧者数)

9/6(火)16:30,⑧を再度内覧させてもらう。ここにしようと心を決めた

 

③賃貸の申し込み

内覧してみて気に入った物件があったら,不動産業者に対し,オンラインで借りたい旨申し込む。これがまた手間がかかり大変だった。

記載事項は,様々な個人情報に加えて,借りる目的や期間,収入額に資産の有無,従前の賃借状況(かつて借りていた物件の担当不動産業者の名前と連絡先も記載せねばならず,直接そこに問い合わせが行く),勤務先や親族など身元確認先(上司などの名前と連絡先を記載。こちらも直接問い合わせが行く)などなど。裏付け資料の添付も求められる。

更に,家族など複数人で住む場合,同居する成人は基本的に共同賃借人となることを求められるのがこちらのスタンダードのようで,上記の記載全てを私の分とパートナーの分,2倍書かねばならなかった。

 

家を借りるのはなかなかに難しい,と様々なブログで厳しい経験談を目にしていたので,全力で取り組んだ。信用できる借主だと思ってもらえそうな資料は全て添付し(個人情報ダダ漏れだが仕方ない),自己アピールも徹底的に記載。メルボルンではもちろん賃貸歴がないから,日本で借りていた家の不動産業者に事情を説明して協力を求めたりもして,申込作業に丸一日費やした。

④大家からの受諾、賃貸借契約締結

結果,4軒申し込んで,翌日には3軒からOKが出たので驚いた。全滅もあり得ると覚悟し、平行してAirbnbで延長滞在先を探していたところだったので拍子抜けしたが、コロナ禍でながらく国境を閉じていたという状況が幸いしたのかもしれない。

契約締結も全てオンライン。契約書を隅から隅まで英語で読むのにまた丸1日かかったが,契約締結自体はとてもスムーズだった。すぐに敷金と1か月分の家賃を振り込み,不動産屋まで鍵を受け取りに行って(この時初めて不動産屋に行った。物件から遠いCBDにあることを初めて認識),引き渡し完了。

 

なお,第一希望の一軒家⑪からは,一週間以上経過した後ようやく受諾の連絡が来た(ので,結果としては申し込んだ全ての物件からOKが出たことになる)のだが,その時にはもう第二希望だった現在の家に引っ越した後だったので,その家とは縁がなかったのだろう。厳密に考えると,他の物件の受諾スピード感からすればおそらく⑪の大家は別の申込者を選んだがその申込者が受諾を蹴ったか(要は私たちは後順位だった),レスポンスが悪い大家なのか,はたまたひどく仕事の遅い不動産業者か,というあたりが原因だろうし,そうだとすれば関わったとしてもひどく苦労するだろうから,結果オーライだと思う。

今住んでいる家は,内覧でピンと来たし(この直感すごく大事),公共交通機関へのアクセスが抜群な上(未だ車を買えていない状況を考えると良い選択だった),前述のとおり家具つきで,家族丸ごと引っ越しの私たちにとってすぐに生活が始められる環境というのは想像以上に必要な条件だったと感じる。

 

現在,概ね満足して住んでいる。

ただ,入居後の顛末がいろいろありすぎて,おそらく1年の契約期間が満了するタイミングで転居を検討することになるだろうな,という予感がしている。

その入居後のドタバタについては,また別の機会に。