米食

私は、郷に入れば郷に従え気質が強めなので、渡豪したら日本食はなるべく作らずに現地の食べ物を大いに楽しもう、と思っていた。もちろん、収入ゼロの学生になるわけだから、高いであろう日本食材を買わずに節約しなければ、という意識もあって。

なので、まずは主食の米からメスを入れることにした。食に関してかなり保守的な、我が家のお米大好き男子たちの舌をこっそり洗脳(?)すべく、日本を発つ前から、渡豪時期が近づくにつれて意識的に食卓にパンを並べる機会を増やしたりもしていた(ほぼ効果はなかったが)。

 

しかし、メルボルン生活が落ち着いてくるにつれ、米食の割合が随分と増えてきた。

 

理由はいくつかあって、例えば、パンはかさばるので保存が大変と気づいたこと。家族分ともなると冷凍庫がすぐにいっぱいになってしまう。そこでピタパンやラップなどのぺったんこパンに助けを求めてみたものの、彼らの難点は挟んだりくるんだりが必要なことで、メインメニューにかなりの縛りがかかるし、いざ食べる時には全てピタサンドやラップサンドになってしまう。夕ごはんであってもランチ感強すぎで、やや抵抗あり。

そうすると勢いパンを買いにいく頻度を増やさなければならない。これが私にとってはかなりの苦行。

フランスに住んでいた母から、パリでは朝早くからパン屋が開いていて、早朝、その日のごはんのために皆バゲットを買いに行くものだ、と昔聞いたことがある。その時は、わざわざ面倒な、でもやはり主食だから美味しい焼きたてを追求するものなのかな(日本人も魚沼産コシヒカリと聞くと気分上がるし)と思うくらいで全くピンとこなかった。しかし、パンは保存に向かない食べ物なのだということを日々体感して、初めてその行動に合点がいった。

こちらでも街のパン屋には朝早くからひっきりなしに客が訪れている。また,確かに焼きたては格別美味しい。しかし私には、早起きして買い出しに行くまでの情熱がどうしても持てない。

それに比べて,米は本当に保存が楽だ。

 

加えて、米食増加の主な理由はこれ。安いのだ。

スーパーの安売りチラシ,大好き

オーストラリアにはColes(コールズ)とWoolworths(ウールワース)という2大メガスーパーマーケットがあり、お互いしのぎを削っている。そして信じられないことに、両スーパー共に、様々な商品の半額セールをするのだ(なお、これまでで一番驚いたのは缶入りポークのSPAM半額。思わず棚に並んでいるもの全て買い占めた)。

毎週水曜日に割引商品が更新されて(写真のような冊子が店頭に並ぶ)そこから1週間、割引価格での販売が続く。これは何も賞味期限間近だったりB級品を対象としたものではなくて,いたって普通の商品。割引率は商品や時期によって変わるが、最大で半額。半額!!!

その半額商品に、1〜2か月に1度、米が登場することに気がついた。5キロで約10ドル(豪ドルは私が住み始めてから92円〜96円と高止まり),味はともかく、日本で買うよりも安い。

この反復継続する米の大安売りに気づいてから、私は毎週欠かさずセール冊子をゲットして、米が出たと見るや大きなリュックを抱え,何往復もして大量の米を買いだめする習慣がついた。なお、同じ行動に出る日本人?アジア系?は多いようで、1週間経たずに売り切れることもしばしば。

 

なお,米だけでなく,お菓子でも食材でも日用品でも値引率の高いときに購入し試してみて,少しずつこちらでのお気に入りを増やしている。ただし,何を買うにも半額にならないと手を出す気になれない体になってしまっている。